定年後どのように働くのが、社会保険の面からはいいのか?

うちの職場は60歳定年です。同年代の妻も同じく定年は60歳。正しくは60歳を超えて迎える年度末です。

同時期に定年を迎えます。

再就職は?

うちの職場では、再雇用の制度があります。

が、使った方は私の知る17年の間でお一人だけ。事実上形骸化しています。但し、制度上の義務があるようで希望すれば雇ってもらえるようです。お給料は大幅に下がります。

噂では半額もないとか。

習5日から週3回まで選ぶこともできるようです。もちろん、先ほど記したフルタイムでの減額に加えて、働かない時間の分お給料も下がります。

定年後の社会保険

一足先に定年になってる義父に聞くと、月の支出で一番大きいのは税金ではなく、社会保険とのこと。

特に、国民健康保険が高いようです。

国民健康保険を回避するためには、社会保険(多くの場合、協会けんぽ)の対象になるしかないわけです。

ところが、社会保険に入ると厚生年金も連動して同時に加入することになります(70歳未満)。もちろん厚生年金の掛け金も、しっかり取られます。

厚生年金の定額部分は480ヶ月以上掛け金を納めても増えない。

厚生年金の加入期間が伸びると、将来(65歳以上)でもらえる年金額(老齢年金)も増えてきます。

老齢年金額は日本年金機構HPにあるとおり、

老齢年金 = 老齢基礎年金 + 老齢厚生年金 で構成されています。

このうち、老齢基礎年金はいわゆる 国民年金 にあたるもので、20歳以上60歳未満の40年480ヶ月、掛け金を毎月納めた方の場合779300円で、納めていない月があればその分比例計算されます。

一方、老齢厚生年金は

報酬比例年金額 + 経過的加算 + 加給年金額 で構成されます。

(※年齢によって65歳未満で支給される特別支給がありますが、私の年齢では対象にならないので、省いてあります。)

このうち経過的加算は、老齢基礎年金に相当する部分ですが、厚生年金の掛け金は15歳以上70歳未満で徴収されるので、15歳以上20歳未満と60歳以上70歳未満は老齢基礎年金の対象とならないことから、老齢厚生年金の内数として、相当額が支給されるものです。

経過的加算は

経過的加算額の計算式の例

※1 生年月日に応じた率(私の場合、おおむね0.947)
※2 昭和21年4月2日以後生まれは480月を上限

だそうです。問題は※2。480ヶ月(=40年)で打ち止めになるんですね。

厚生年金適用事業所で(要は会社員として)480ヶ月以上働いても、打ち止め切り捨てになるということです。

私22年7ヶ月目に、就職して働きましたので、定年まで勤めればちょうど38年。456ヶ月です。残り2年24ヶ月で定額部分は打ち止めになります。

なお、報酬比例部分は480ヶ月にこだわらず、加算されていきます。

定額部分の割合は?

では掛け捨てになる定額部分の占める割合はいかほどでしょうか?

定額部分は掛け金金額にかかわらず一定です。低所得者ほどトクする制度になっています。

1ヶ月かける毎にもらえる年金額は上式の通り、1625 * 0.947 = 1539 円 です。

一方報酬比例部分は、

報酬比例部分の年金額計算式

となっており、私の生年月日だとそれぞれ最低の7.125と5.481とが適用される係数になります。

仮に平均標準報酬額が30万円だとすると、1ヶ月毎に増える年金額は

300000 * 0.005481 =1644 円です。

定額部分と報酬比例部分の割合はおおよそ1:1。つまり半分しか年金額には反映されないことになります。

480ヶ月以上の厚生年金加入は得?

そうなると、480ヶ月以上厚生年金に入っても無駄かという議論になってくると思います。

厚生年金の保険料率は18.3%です。このうち、労働者負担は半額なので、9.15%です。

それと、健康保険(一例としてここでは、協会けんぽ北海道)は10.15%です。このうち労働者負担は半額なので、5.075%です。

さらに介護保険料が1.58%(労働者負担0.79%)

で年間収入360万円として、合計15.015%なので、保険料は年間540540円

一方、国民健康保険に入ったとすると、(札幌市の場合)、360万円が早見表にないので、年間収入350万円として405,710円だそう(2人世帯)です。その差14万円ほど。

14万円払うと年金額は比例報酬分として 12 * 1644 = 19728 円 増えてきます。

7年か、8年受給すると元が取れる計算でした。

一方、協会けんぽの任意継続と比較してみます。協会けんぽには脱退後2年間継続できる制度があります。ただし事業主負担が無くなるので、掛け金は2倍になります。この場合、仮に平均標準報酬額が30万円であったとすると、保険料は年間で

300000 * (0.1015 + 0.0158) * 12 = 422280

と、札幌市の国民健康保険を超えてしまいます。実際にはその時の年金収入がある場合、社会保険だと年金分は反映されないので実際のところはケースバイケースかもしれません。

会社員として働く限りは厚生年金・健康保険か

ということは、会社員として働く限りは厚生年金や健康保険に入った方がトクという結論になりそうです。

雇用者負担が半分有ることが大きいのと、国民健康保険の保険料が相対的に高いこと、扶養者制度がないことが響いていると思います。

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