iDeCo(個人型確定拠出年金制度)って?

iDeCo(個人型確定拠出年金制度)が2017年1月から拡充されました。

マネー雑誌や婦人誌になんかには、iDeCoやらな損みたいな感じで書かれています。
本当に得なんでしょうか?

iDeCoって?

「確定拠出年金」は、公的年金に上乗せして給付を受ける私的年金のひとつです(厚生労働省HP)。とされているようですが、実態は任意加入でありながらも、公的年金に近い制度になっています。

個人の財産、あるいは給与から毎月一定額を拠出し、一定の年齢(通常は60歳から69歳の間)になった以降に年金または一時金として受けとることができる制度です。

 iDeCoの税制

iDeCoには、3つの税制(優遇)措置(拠出時・運用時・受取時)が定められています。これがiDeCoの最大の特徴です。雑誌等には特典として書かれていますが、優遇かどうかは運用次第の部分もあります。具体的には、以下の通りです。

  1. 掛金が全額所得控除
  2. 運用益非課税
  3. 受取時は退職所得扱い(一時金で受けとった場合)もしくは雑所得の公的年金等扱い(年金で受けとった場合)

1.は,掛金(拠出金)全額を所得から控除してもらえるというもの(小規模企業共済等掛金控除)控除できるのは本人の所得からのみで、年金掛け金のように配偶者や親族の所得からは控除できません。。
iDeCoには,給与から引き去って払い込む方法と個人払いの方法2種類があります。筆者の場合、個人払込になりますので(職場によって両方に対応してくれるところと、片方にしか対応しないところがあります。うちの職場は個人払込に対応。)なので、年末調整時に拠出した金額に対して、所得税の限界税率分+地方税分が(注:筆者の場合約3割)を還付してもらえます。

3割も返ってくるなんてすごいじゃないのと想われますが、後述する3.に絡みますが、給与として収入のあった段階では課税せずに、将来の年金として収入となる際には課税されるので、単に税金の繰り延べです。いくつもの雑誌記事を読みましたが、税金の還付(あるいは低減)にばっかり記事が割かれていて、、実態は課税時期がずれるだけの「繰り延べ」であることに触れている記事は全体の2割ぐらいしかない印象です。

もっとも、所得税は累進課税になっています.生涯収入はできるだけフラットに、年によって上下しないようにもらうやり方が、税金等が最も安くですみます。直接iDeCoに関係しませんが、家族同士でも収入差を少なくした方が一般的には得になります。(細かい控除の関係で逆転することもあります。念のため。)

通常老後の方が収入は少なそうですので、そういう意味では得になる可能性が高いと思われます。(ただし予測できない将来の収入によって変わってくるので、その意味では投資的要素を含んでいます。)

もしくは、事業が成功してとか、生涯にわたって収入が確保された場合、老後の方が収入が多くなる場合は、手数料もかかることもあって損になる可能性があります。(給付金受領時に控除枠もあるので、実際にはケースバイケースによると思います。)

また、今現在の収入が低くて税率が安いけれども、遠い将来(=老後)収入は増えた場合は、わざわざ税率の低いときに収入を減らして税金を高くしていることになりますから、そういうケースもメリットはなくなります。大企業に勤めて、若い給料が低いときが該当すると思います。

2.についても同様で、運用中に利息として課税されないと言うだけで、給付時に給付金に組み込まれてしっかり課税されます(1.と同様の課税の繰り延べです)。課税前に給付時に税金で持って行かれる分についても複利で運用できるわずかなメリットはありますが、全体額からすると小さいといえます。

3.そして最後が受取時の税制です。給与支払時にはその収入には給与所得控除が適用され、税金計算上の所得は低減されます。さらに給付時に退職所得控除か公的年金等控除が適用になるわけで、二重に課税計算上の所得が低減されますから、ここはありがたい仕組みです。

健康保険と厚生年金は、iDeCoに拠出した分にもかかります(約15%)。税金と算定の基礎となる対象が違っているためです。そして、給付金をもらう場合でも、年金形式の場合、その時点で国民健康保険だった場合、もう一度保険料がかかってきます(現行の料率で約17%)。健康保険の給付の中には所得に比例するものもあるので、なんらかの給付金を健康保険からもらう場合増える分もあるのですがもらうケースは障害になったときなど確率的に小さいので、大雑把には掛け金1回分損ということになります。

っとここまで書いてくると、実のところiDeCoがそんなには得ではない制度でないようなきがしてきました。

iDeCoのデメリット

人によって考え方や優先順位は違うと想いますが、私の思うデメリットについても記していきます。

  1. iDeCoは投資であって、損するか得するかはわからないということ。運用利率が○%とすると・・・なんていう試算が山のように雑誌などに載っています。ですが、大原則。投資は自己責任です。繰り返しますが、iDeCoの本質は投資(=比較的リスクの小さい博打)です。勝つこともあれば、負けることもあるわけです。売られている雑誌にも運用利率がマイナス○%だった場合など負けた試算も是非載せてもらいたいものです。
  2. 長期間にわたって預け資産となり、原則60歳まで途中で引き出せないこと。また一度入るとやめられないこと。期間が長いため、表面上の金額が増えたとしても、物価がそれ以上上がっていれば(インフレ)実質価値は目減りすることもありえます。このため、目先に現金が必要なものがあってそのお金の確保が難しい場合はそちらを優先すべきと思われます。反対にお金に余裕がある人には向いています。
  3. 各種手数料が取られること。
    取られる手数料は、a)加入時手数料、b)口座管理手数料、c)給付事務手数料、d)還付事務手数料、e)運用管理手数料(信託報酬)とあらゆる段階でかかってきます。
    加入時の手数料は、国民年金基金連合会に2777円、金融機関に0円~千円程度
    口座管理手数料は毎月、国民年金基金連合会に103円、信託銀行に64円程度、金融機関に0~450円程度
    c)d)は後日なので無視しても、e)は残高に対して0.2~1.6%程度。
    イヤー結構な金額の予感。

ってことで、本当に得なのか?選択肢が広がったのはいいとして微妙だなぁ-と感じている次第なのです。

コメントはまだありません

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

1_人生設計
定年後どのように働くのが、社会保険の面からはいいのか?

うちの職場は60歳定年です。同年代の妻も同じく定年は60歳。正しくは60歳を超えて迎える年度末です。 …

3_社会保険
年金。いつからもらうのが得でしょうか?

私の妻、フルタイムで働いています。 本当に貴重な我が家の収入源です。ありがたいことです。 怒られるか …